施術例Ⅱ
第3部 癒着性のコリへの対処 3/3
ほぐれにくいコリには、伸縮刺激が効果をあげているのか?
癒着や変性したと考えられる組織に
その部位が要求されている耐久性を回復するため
その部位にかかるだろう伸縮刺激を与えることで
癒着・変性が起きる以前の組織
あるいはより丈夫な組織に
本当にもどっているのだろうか?
この疑問にある程度の答えを与えてくれる報告・・・
人間の体には
外部刺激に対抗して
自分自身の体を改良していく能力が
備わっていることを証明する報告は
例えば骨折した部位の骨は
以前よりも厚くなっている
トレーニングによって破壊された筋繊維が
再生される時に、より太いものになっている
などのように沢山存在する。
ただ、肝硬変のように
死んだ肝細胞の間を繊維性の組織が
代替的に埋め尽くしてしまい
元の肝臓には永久にもどりそうにないケースもみられる。
生物の細胞のもっている
再生可能性を考えると、
例えば肝硬変の繊維化した組織だけを溶かしたり
外科的に取り除いたりして
肝細胞自体の機能を高めることができたら
また元の形態にもどり機能も回復しないのだろうか?
という疑問もある。
現時点でそういうことができるという話は
知る範囲で聞いたことがないが(2000年頃の話)
いつかは解明される可能性も否定できない。
(2012年11月現在、再生医療の話が進んできています。)
死んだラットの腎臓を薬剤で処理してたんぱく質で構成される構造だけ残し、別のラット新生児の腎臓細胞を注入して機能を再生させる実験に成功したと、米マサチューセッツ総合病院とハーバード大の研究チームが14日付の米医学誌ネイチャー・メディシン電子版に発表した。 腎臓を切除したラットにこの再生腎臓を移植する実験でも、血管や尿管がつながって尿が出ることを確認した。正常な腎臓に比べればまだ機能が大幅に低いため、研究チームは今後、技術を改善し、腎臓移植が必要な患者で腎臓再生の実現を目指している。 死んだり、機能不全に陥ったりした臓器を薬剤処理して構造だけ残し、再生の型として利用する方法は国内外で研究が進められ、心臓や肺、肝臓でも試みられている。 人工多能性幹細胞(iPS細胞)や胚性幹細胞(ES細胞)をこれらの臓器の細胞に変えることができても、立体的な構造を作ることが難しいためで、臓器再生の有力な技術と期待されている。(時事通信2013年4月15日(月)2時2分配信)
では、癒着・変性と考えられる組織が
元にもどるのかについて
もどっている、もどっていないという点
またそもそも癒着・変性が起きているとう前提条件は
正しいのか否かという点を証明するためには
間接的な情報から仮定的な結論を出すだけではなく
これが証拠ですという結果を示せる実験研究が必要だと思う。
もちろん、細胞組織の変性の仕方については
組織をスライスした写真付きで多くの研究がなされていて
それらの研究結果は、役に立つ。
ただ、実験研究結果として知りたいことは
現在目の前で生きている個人の細胞について
今の状態と、治療直後の状態、一定期間後の状態を
せめて電子顕微鏡レベルの映像で見てみたい。
これを実現するためには
切らずに生きた細胞を観察する装置が必要になる。
そんな装置が、開発されてほしいと思う。
癒着は剥離させる
コリ感の原因が
病院での科学的検査により他の医学的疾患によるものでない場合は
筋肉などの組織の
機能障害が原因だと考え
そこに癒着・変性があると仮定できる場合には
神経反射的な方法で血流などの改善をうながしながら
癒着を物理的な力で剥離させる必要があるだろうと考えられる。
自分以外の人体に対しては
癒着性のコリも
神経反射的方法で解消できるコリも
共に改善させることができている。
具体的な方法は後述したいが
では、セルフ・メンテナンスの方法は?
自分では背中に手が届かないのに、どうやってそれをやればいいんだ?
という初期の問題に帰ってみる。
癒着性の機能障害部位に対しては
セルフ・メンテナンスをする場合でも
ある程度の圧迫力が必要になる。
ゴルフボールでも
圧力が十分とどかない
細かい部位に
刺激が与えられるような形状のものを作ってみたい、と考えている。
今のところ
神経反射的な方法で解消されるコリについては、セルフ・メンテナンスの方法は選択肢が沢山ある。
しかし自分の手のとどかない部位にある癒着性のコリに対するセルフ・メンテナンスの方法は
決定打が見つけられていないのが実情で
研究の余地がある。
→20170318(土)記す。2015年10月に開発・製造したストレッチ矯正器具・通称「木のやつ」、約一年間実証実験を自分のからだで行い、背中の癒着性のこり、ついに改善しました!やったー。今では、ズキッとくる背中の痛み、一年以上出ていません。背中の感覚が、だいぶ変わりました。
根本的なコリの原因の1つは、癒着性のコリ
テレビや健康雑誌で
コリ解消法は多く紹介されているが
- 主に神経反射的な方法でほぐれるタイプの、まだ筋肉等に癒着・変性が起きていないコリに対して有効なものがほとんどだと思われる。
こういった筋肉の過緊張を緩める方法によって
自覚症状は解消されることが多いので
この段階で問題は解決したと思われている場合が多いと思う。
しかし癒着性の頑固なコリが関節の可動性を制限している場合は
根本的な姿勢のバランスは改善されていない
と考えられるので
その歪みを補正するために筋肉が無意識のうちに姿勢制御を行い、その姿勢制御に活躍した筋肉が疲労して、また筋肉の過緊張が再発するという悪循環の根は残されている場合が多い。
この根が絶たれていないために
雑誌の体操をやっても
お金を払ってせっかくカイロや整体
マッサージや針灸などにいっても
すぐにまたコリが出る
という御話をあちらこちらで聞く
という残念な結果になっているように思う。
過緊張による筋肉のコリをためない
この問題に現時点で考えられる対処方法としては
一人一人の方にある程度のセルフ・メンテナンスの方法を
体得してもらうことだと考えている。
自分の足や手やお腹
表側の肋骨に対してなら
圧迫する感触を理解できるようになると
専門家でなくともある程度上手に自己管理できるようになる。
実際に施術を受けている方は
自分の体を通して
コリがほぐれる時の圧力や感触を体験しているので
その感覚を再現するようにして
自分や家族をほぐしている方もいる。
神経反射的方法で効果がでやすい過緊張性の筋肉のコリがほぐれる感触というのは、押さえている部位でバターが溶けるように薄くなっていく
など、触った感触でわかるようになってくる。
癒着性のコリがほぐれる様子
癒着性の部位がほぐれるというか剥離する時というのは、バリッ・ギシッという音を伴う時もあり、かなり非日常的感覚で、初めてその感覚を感じた方は驚くことがほとんどだ。
数回それを経験されて
ああ、またか。
と納得できるタイプのものだ。
そういった現象は、施術中や直後に起きることもあるし、時間が経過してから起きることもある。
これは、あるところまで癒着の剥離が進んでくると
日常動作による力や施術中の力などにより
瞬間的に
最終的な剥離が
起きるためだと考えられる。
この現象が起きた後に、その部位を触診するとそれまであったシコリが無くなっている。お腹の中のグリグリや、後頭部の筋肉の盛り上がりが無くなったことを、自分で触知して、なくなりました。
と報告を受けることがよくある。
癒着性のコリがほぐれた後に起きること
このような最終的剥離が
癒着していただろう部位で
しかも
体のあちらこちらで連鎖的に起きてくると、本格的な姿勢改善に向かう。
あごの突き出しがひっこむ、アゴのずれで唇が左右に歪んで見えていたものが上下そろって見えるようになる、肩がいかり肩だったものがなで肩になる、肩が前方に丸まり猫背だったものが肩が後ろに引けて力の抜けた様子になる、肋骨がペタンとつぶれたようになっていたものがバランスの良いふくらみを持つ、腰が細くなる、下腹の出っ張りがひっこむ、平坦だった御尻が上がってきてふくらみを持つ、O脚の改善がみられる、ふとももやふくらはぎの形が良くなる、足首がより曲がるようになり踵をつけてしゃがめるようになる、小判のような形に固まっていた足の裏にアーチが形成されて指の間に広がりができる、等
の外見上の変化が顕著にあらわれる。
こういった
変化に伴い、頭痛や背中の痛み、腰の痛み、生理痛、等の症状が緩和されていく。
もちろん
癒着性の変化が起きる前に
症状の緩和が起きる方も多々いる。
回復スピードを高めるためには
セルフ・メンテナンスを上手に生活に取り入れられるほど
術者が施術する時に、その方自身ではどうにもならない部分にのみ集中して施術できるため
回復スピードがより早くなる。
ただ、一生懸命にセルフ・メンテナンスの方法を学ぼうとすると
疲れてしまうので
上手に身につけていく方法として
成功されている方の例を御紹介したい。
最初は
自分で何をやってもほぐれないという経験を長く持ったためか、何もする気が起きないという場合が多くみられる。
それが、ほぐれてくるにしたがって
体が“ここをもう少しほぐしてくれ!”
と要求してくる。
自分でもその部位が気になり自然と伸ばしたり
手をあててみたりという行動が出てくる。
その結果、少し楽になったとか
ギシッと音がして動きがよくなった・・・
などの体験をする機会が増えていく。
そういった成功体験が、少しずつ自信に変っていき、自分でこうやってみたらどうだろ?と工夫していく楽しさを身につけられていく。
時々、伸ばしすぎてつってしまった
という失敗体験もおきるが
次回の失敗を防ぐ良い学習となり
徐々に自己管理能力を高めていかれる方がいる。
この段階まで進むことができると
本当に良かったと思える。