施術例Ⅱ

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第2部 原因を考える 2/3

2次的対処

~1次的対処終了後に残された問題:変性・癒着した組織~

まだほぐせていない感じのする背中の
芯のほうに
残ったコリ感について。

このコリは
おそらく筋繊維を含むその周辺組織まで
ある程度の癒着や変性をともなうコリだろう
と考えられるので
神経反射的な方法
カイロプラクティック理論:サブラクセーションの実態:1・2・4参照)では、
コリの解除は難しい。

変性・癒着とはどんな状態なのか?

例えば組立式の机を作る時に
ボンドがはみ出て机の引き出しがくっついて
動かなくなった状態に近いかもしれない。

人の細胞も一度壊れて
それが修復される過程でボンドがはみ出し
となりの組織とくっついてしまうようなことが起こる。

変性・癒着はどのようにして発生する?

事故などで大怪我をした後は
傷を受けた部位に癒着が現れるので
癒着とはこういうことなのかと理解しやすい。

だが、日々のちょっとした怪我や筋疲労からも組織の癒着が起きうるという点は
気にされることが少ないように思う。

発生例

足首を捻挫したけど冷やしておけば痛みがなくなる。
痛みがなくなったから治った。
という解釈はよくあると思う。
ただ、治った、と思った後に思うことは
前よりも足首の動きが悪くなった
あるいはぐらぐらと不安定になった
または、捻挫しやすくなった。
などではないだろうか。

なぜ、こういうことが起きるのか。

問題部位の役割と特徴

筋肉や腱などの人の動作に関係する組織に限定して考えると
肝臓の細胞など動作に関係しない組織とはちがう視点が必要だと思われる。

なぜかといえば
動作に関係する部位の組織は
自分の体重や
スピードが加わることにより
大きな力となった運動エネルギーによって
手足がちぎれて飛んでいかないように
腕や足や指をつなぎとめておく役割がある。

その時
その組織は伸ばされたり縮んで圧迫されたりと
過激な状態に置かれている。

もし
そのような力がかかる所に
脳細胞や肝細胞ぐらいの柔らかい組織が配置されていたら
ちょっと動いただけでちぎれ
体はバラバラになってしまうだろう。

バラバラにならないですむのは
伸縮性があり切れにくい組織が
動作に関係する部位をとりまいているからだ。

自然治癒(放置による自己治癒)

捻挫後足首の動きがおかしい
というのは
この伸縮性があり切れにくい組織が
一度壊れ、痛みがひき、治癒したと思った時点でも
もともとの性能を発揮できる組織としては作り直されていないことが原因だと考えられる。

人の体は
怪我をしても自然に
もとの性能をもった状態にもどればいいのだが
どうもそのようにはできていない。

とりあえずボンドでふさいでみた。
という程度の修復がよくなされている。

自然治癒と治療的治癒(機能回復を目的とした治療刺激をともなう治癒)

例えば
自分の手や腕の皮膚の切り傷を探してみて
良く見てみると
指の関節付近など可動部分にできた切り傷は
傷のない周りの皮膚と同じようなしわができて
触ってみても柔らかい。

しかし
あまり皮膚を伸び縮みさせることのない手の甲などの傷
表面がつるっとしていて
触った感触もその周りの皮膚より弾力性がない。

傷の深さや大きさによって多少異なるが
関節付近でよく伸ばしたり縮めたりしている皮膚にある傷跡は
そうでない場所に比べ
もともと持っていた
組織の柔軟性と伸縮性に近いものを回復させている。

これを、時間の流れの中で観察してみると
関節付近の傷でも
最初かさぶたが取れて綺麗な皮膚ができた時には
皮膚はツルツルして伸縮性が低い。

やがて日常生活の中で強制的にその皮膚
伸ばしたり縮めたりする力にさらされる。
その刺激があって初めて皮膚は気がつく。
こっちに引っ張る力を支える皮膚に変らないと
また破けてしまうかも
と。

そして
何ヶ月かの新陳代謝の中で
伸縮する刺激を受け続けた皮膚
関節の動きに耐えられる構造に変っていく。

引っ張られたりする刺激を受けなかった場所の組織は
特に変らなくても安泰だから
変らないままになっている。

皮膚だけではなく
例えば動きの悪くなった足首でも
その場所での動きに対応した
伸ばされたり縮められたりする
治療的な刺激が与えられた場合
もともと持っていた組織の柔軟性や伸縮性に近いものを
回復させることができると考えられる。

癒着・変性と考えられる組織への対応

では
自分の背中に残っているコリ感をどうしよう
と考えると・・・

背骨の関節を正常可動範囲いっぱいまで動けるように
それを制限している筋肉や関節の癒着をはがしながら
(関連事項:カイロプラクティック理論:サブラクセーションの実態:3)
まだ性能を取り戻していない
背中の筋肉に
伸縮刺激を与え続けていくという結論が出てくる。



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